業務改善助成金は、中小企業の賃金引き上げと設備投資を支援する制度です。従業員満足度と生産性を同時に高める方法をご紹介します。
「賃金を上げたいけれど、原資がない…」「人材が定着しない…」そんな悩みを抱える中小企業の経営者の方へ。従業員の満足度を高めながら、設備投資費用を大幅に補助してくれる「業務改善助成金」があります。
本記事では、制度の概要から活用のメリットまでをわかりやすく解説します。従業員が幸せに働ける職場づくりの第一歩に、ぜひご活用ください。

業務改善助成金とは?
「業務改善助成金」は、中小企業が事業場内最低賃金を30円以上引き上げたうえで、生産性向上のための設備投資等を行う場合に、かかった費用の一部を国が助成する制度です。
● 支給額 : 最大600万円
● 助成率 : 最大9割(令和6年度実績。条件により変動)
● 対象経費例 : スチームコンベクションオーブン、販売管理システム、自動食器洗浄機、自動梱包機
活用する5つのメリット
1. 賃金引上げで従業員満足度アップ
定着率・モチベーション向上による離職防止。求人にも有利に働きます。
2. 設備投資費用の負担軽減
たとえば600万円の設備投資で、最大540万円(助成率9/10)が支給されるケースもあります。
3. 生産性向上による利益増
在庫管理の効率化や業務フロー改善により、売上増・コスト削減が実現。
4. 経営の見直しのきっかけに
助成金の申請にあたり、賃金制度や業務内容の見直しが求められ、会社全体の「改善力」が高まります。
5. 社内外両方からの信頼性向上
国の制度を活用し労働環境を改善している企業として、法を順守した労務管理ができているというお墨付きが得られます。
助成金活用の成功事例
【事業内容】
食品製造業 従業員数4名
【事例】
商品の販売状況がリアルタイムでわかる冷凍自動販売機を導入した。製品を無人かつ24時間の体制で販売できるようになった。
冷凍自販機はインターネットに接続されているため、製品を補充するタイミングが遠隔でわかるようになり、従来のように自販機まで足を運んで在庫を確認する手間が軽減された。
その他、売上や在庫管理などもオンラインでできるようになった。
【利用したコース】
90円コース 助成上限額290万円
このように設備投資をすることで業務の効率化が図られ、労働時間が削減される取り組みに対して業務改善助成金を申請することができます。
活用に向けた具体的なステップ
1.現在の事業場内最低賃金と地域別最賃賃金の差を確認
事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内(年度によって変更有)であることが要件です。
2.賃金引上げと設備投資の計画を立てる
助成金の活用がなくても賃金を引き上げる予定がある、設備投資をしたいという意向がある場合に検討をするのがおすすめです。助成金は制度の改正が多いため100%受給できるとは限りません。
3.管轄労働局または社労士に相談
自社で申請を進める場合は管轄労働局に、業務改善助成金の対象となる設備投資の計画か事前に相談してから見積等を用意されるとスムーズだと思います。
申請にはスケジュール管理が重要です。抜け漏れなく進められるように要綱等を十分に読み込んで進めてください。
自社対応が難しい場合は当オフィスでサポートさせていただきますのでお気軽にお問い合わせください。
4.交付申請 → 計画実施 → 実績報告 → 助成金受給

社労士からのアドバイス:不正受給を防ぐために
● 労働保険の未納や、労基法違反があると申請できません。まず最初に労務管理を適法に行いましょう。
● 賃金引上げは「就業規則等」で明確に定める必要があります。事業所内最低賃金を就業規則等に定めます。
● 設備購入の納品タイミングは「交付決定後」です。順番が大事ですので気を付けましょう。
まとめ
業務改善助成金は、単なる経費削減のための制度ではありません。「人を大切にする経営」を実践したい企業にとって、従業員の幸福と企業の成長を両立できる大きなチャンスです。
今こそ、賃金引上げと業務改善を通じて、自社の働き方をアップデートするタイミングかもしれません。制度の活用には計画と実行力が必要ですが、専門家のサポートを得ながら進めることで、より確実な成果を得ることができます。
「うちでも申請できる?」「どこから手をつければ?」とお悩みの方は、お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。助成金を活用した職場環境の改善を、全力でサポートします!